不妊の原因のおよそ半数は男性側にあるとされています。しかし「不妊=女性の問題」というイメージが根強く、男性が検査を受けるのをためらうケースは少なくありません。
WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊カップルの約48%に男性因子が関与しています。つまり、パートナーだけに検査を任せるのではなく、男性自身も早い段階で検査を受けることが妊活の近道になるのです。
この記事では、男性不妊の主な原因と検査方法、受診する診療科の選び方まで詳しく解説します。「もしかして自分にも原因があるのでは」と不安を感じている方は、まず正しい知識を身につけるところから始めてみてください。

🐰 ナビ助のおすすめ!
男性不妊の主な原因
男性不妊の原因は大きく3つに分類されます。それぞれの特徴を理解しておくことで、適切な検査や治療につなげやすくなります。
1. 造精機能障害(精子をつくる力の問題)
男性不妊の原因として最も多いのが造精機能障害で、全体の約80〜90%を占めます。精巣で精子をうまく作れない、あるいは作れる精子の数が極端に少ない状態です。
代表的な疾患としては以下が挙げられます。
- 精索静脈瘤:精巣周辺の静脈が拡張し、精巣の温度が上昇して精子の産生に悪影響を与える。男性不妊の原因として最も多い
- 無精子症:射出された精液中に精子がまったく見つからない状態。閉塞性と非閉塞性がある
- 乏精子症:精子の数が基準値より少ない状態
- 精子無力症:精子の運動率が低い状態
原因不明のケースも少なくなく、「特発性造精機能障害」と呼ばれる原因が特定できない症例は全体の30〜50%にのぼります。
2. 精路通過障害(精子の通り道の問題)
精子は作られているものの、精管などの通り道が詰まっていて射精時に精液中に出てこないケースです。全体の約5〜15%を占めます。
- 先天性精管欠損:生まれつき精管がない
- 精管閉塞:炎症や手術の影響で精管が詰まっている
- 射精管閉塞:射精管が詰まっている
閉塞性の場合は手術で改善できる可能性があるため、早期発見が重要です。
3. 性機能障害(射精や勃起の問題)
勃起障害(ED)や射精障害も男性不妊の原因になります。ストレスや疲労、生活習慣の乱れが引き金になることが多く、心因性のケースも少なくありません。
- 勃起障害(ED):十分な勃起が得られない、または維持できない
- 逆行性射精:精液が膀胱側に逆流してしまう
- 膣内射精障害:マスターベーションでは射精できるが、性交時に射精できない

男性不妊の検査方法
男性不妊の検査は、まず基本的な検査から始めて、必要に応じて精密検査に進むのが一般的です。
基本検査:精液検査
男性不妊の検査の第一歩は精液検査です。2〜7日間の禁欲期間を設けた後、マスターベーションで採取した精液を分析します。
| 検査項目 | WHOの基準値(第6版) |
|---|---|
| 精液量 | 1.4mL以上 |
| 精子濃度 | 1600万/mL以上 |
| 総精子数 | 3900万以上 |
| 前進運動率 | 30%以上 |
| 総運動率 | 42%以上 |
| 正常形態率 | 4%以上 |
精液の状態は日によって変動するため、1回の結果だけで判断せず、2〜3回の検査を受けることが推奨されています。体調やストレス、禁欲期間によっても数値は変わるため、異常値が出ても過度に心配する必要はありません。
血液検査(ホルモン検査)
精液検査で異常が見られた場合、ホルモン検査を行います。FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)などの値を測定し、精子を作る機能が正常に働いているかを確認します。
超音波(エコー)検査
精巣の大きさや形態、精索静脈瘤の有無を確認するために行います。痛みはほとんどなく、5〜10分程度で終わる検査です。精索静脈瘤は触診でわかることもありますが、軽度のものはエコーでないと確認できません。
染色体・遺伝子検査
重度の乏精子症や無精子症の場合、染色体異常やY染色体微小欠失の有無を調べることがあります。クラインフェルター症候群(47,XXY)などの染色体異常が見つかるケースもあります。
精巣生検
無精子症と診断された場合に、精巣から直接組織を採取して精子の有無を調べる検査です。局所麻酔で行われ、同時に精子回収(TESE)を実施することもあります。

何科を受診すればいい?
男性不妊の検査・治療を受けられる診療科は主に3つあります。
| 診療科 | 特徴 | おすすめのケース |
|---|---|---|
| 泌尿器科(男性不妊外来) | 男性不妊の専門的な検査・治療が可能 | 精密検査や手術治療が必要な場合 |
| 不妊治療専門クリニック | パートナーと一緒に検査・治療を進められる | カップルで同時に検査を始めたい場合 |
| 一般泌尿器科 | 精液検査やホルモン検査の基本検査が可能 | まず基本検査から始めたい場合 |
理想的なのは、男性不妊を専門とする泌尿器科医がいる施設を選ぶことです。日本生殖医学会の「生殖医療専門医」の資格を持つ医師がいるクリニックを探すのが確実です。
- パートナーの産婦人科と連携している施設を選ぶとスムーズ
- 自宅からの通院のしやすさも継続のためには大切
- 男性不妊外来を設けている病院は増えているので、近くの施設を探してみる
検査の費用と保険適用
男性不妊の検査費用は施設や検査内容によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
| 検査項目 | 費用目安 | 保険適用 |
|---|---|---|
| 精液検査 | 1,000〜5,000円 | 保険適用あり |
| ホルモン検査 | 3,000〜8,000円 | 保険適用あり |
| 超音波検査 | 1,000〜3,000円 | 保険適用あり |
| 染色体検査 | 10,000〜30,000円 | 一部保険適用 |
| 精巣生検 | 50,000〜150,000円 | 保険適用あり |
基本的な検査は保険適用となるため、自己負担は比較的少額で済みます。初診料と精液検査であれば、3割負担で数千円程度が一般的です。

🐰 ナビ助のおすすめ!
まとめ
男性不妊の原因は造精機能障害が大部分を占めますが、精索静脈瘤のように治療で改善できるケースも多くあります。最も大切なのは、早い段階で検査を受けて原因を把握することです。
精液検査は保険適用で費用も抑えられ、痛みもありません。パートナーに任せきりにせず、夫婦で一緒に妊活に取り組む第一歩として、まずは検査を受けてみてください。
男性不妊の原因や検査について詳しくは、日本生殖医学会の公式サイト(www.jsrm.or.jp・サイト終了)で確認できます。不妊治療全般の情報は厚生労働省の不妊治療に関するページ(www.mhlw.go.jp・サイト終了)も参考にしてみてください。
※この記事の情報は記事執筆時点のものです。検査費用や保険適用の範囲は変更される場合がありますので、受診前に各医療機関にお問い合わせください。
🐰 ナビ助のおすすめ!


