妊娠がわかった喜びの中で、同時に「流産しないだろうか」という不安を抱える方は決して少なくありません。流産は妊娠全体の約15%で起こるとされており、珍しいことではないのですが、だからこそ正しい知識を持っておくことが大切です。
流産の約80%は妊娠12週未満の初期に起こり、その大半は受精卵の染色体異常が原因です。これは母体の行動や生活習慣とは無関係に起こるもので、防ぎようのないケースがほとんどです。
一方で、生活習慣の改善や適切な医療管理によってリスクを下げられる要因も存在します。この記事では、流産の原因を正しく理解したうえで、リスクを減らすために実践できる予防法を解説します。

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流産の基本情報
まず、流産に関する基本的な情報を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 妊娠22週未満での妊娠の終了 |
| 発生頻度 | 全妊娠の約15%(認識された妊娠のうち) |
| 時期別の割合 | 妊娠12週未満:約80% / 12〜22週:約20% |
| 主な原因 | 受精卵の染色体異常(約50〜70%) |
| 再発リスク | 1回の流産後:約15% / 2回連続:約25% / 3回以上:約30〜40% |
日本産科婦人科学会の定義では、妊娠22週未満の妊娠喪失を「流産」としています。22週以降は「死産」という別の扱いになります。
流産の原因
1. 受精卵の染色体異常(最多の原因)
初期流産の約50〜70%は、受精卵の染色体に偶発的なエラーがあることが原因です。これは母体の行動や生活習慣とは一切関係なく起こる現象であり、防ぐことはできません。染色体の数が多すぎたり少なすぎたりする「異数性」が代表的です。
年齢とともに卵子の染色体異常の確率は上昇しますが、それでも個人の努力でコントロールできるものではありません。
2. 子宮の形態異常
子宮の形が通常と異なる場合(子宮中隔、双角子宮など)、受精卵の着床や発育に影響を及ぼすことがあります。先天的なものと後天的なもの(子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど)があります。
3. ホルモンの異常
- 黄体機能不全:プロゲステロンの不足で妊娠を維持できない
- 甲状腺機能の異常:甲状腺ホルモンのバランスが崩れると流産リスクが上昇
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):排卵障害だけでなく流産リスクとの関連も報告
4. 免疫学的な要因
抗リン脂質抗体症候群は、血液が固まりやすくなり胎盤の血流が妨げられる疾患です。流産を繰り返す原因の一つとして知られており、適切な治療で妊娠継続率を改善できます。
5. 感染症
風疹、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどの感染症は、妊娠初期の流産リスクを高めることがあります。
6. 生活習慣に関する要因
- 喫煙:流産リスクを約1.2〜2倍に増加させるとする研究あり
- 過度な飲酒:大量の飲酒は流産リスクを高める
- 肥満または極端な低体重:BMIの極端な偏りはリスク要因
- 過度なカフェイン摂取:1日300mg以上でリスク上昇の可能性

流産のリスクを減らすためにできること
染色体異常による流産は防げませんが、生活習慣の改善や適切な医療管理によってリスクを下げられる部分はあります。
1. 葉酸を摂取する
厚生労働省は妊娠を計画している段階から1日400μgの葉酸摂取を推奨しています。葉酸は神経管閉鎖障害の予防だけでなく、妊娠初期の健康維持にも重要な栄養素です。
2. 禁煙する
喫煙は流産リスクを高める要因の一つです。受動喫煙も影響があるため、パートナーの禁煙も重要です。禁煙外来を利用すれば、医療保険が適用されるケースもあります。
3. アルコールを控える
妊娠中の安全なアルコール量は確立されていません。妊娠がわかった時点で飲酒は完全にやめるのが望ましいとされています。妊活中から控えておくとより安心です。
4. 適正体重を維持する
BMIが18.5未満(低体重)または25以上(肥満)の場合、流産リスクが上昇するという研究データがあります。バランスの良い食事と適度な運動で、適正体重を目指しましょう。
5. カフェインを控える
1日200mg以下(コーヒー約1〜2杯)に抑えるのが推奨されています。紅茶や緑茶にもカフェインが含まれているので、トータルで管理してください。
6. ストレスを管理する
過度なストレスがホルモンバランスに影響を与える可能性は否定できません。リラクゼーション、趣味の時間、十分な睡眠を心がけましょう。
7. 持病を適切に管理する
糖尿病、甲状腺疾患、高血圧などの持病がある方は、妊娠前からしっかりコントロールすることが大切です。主治医と産婦人科医の連携のもと、治療計画を立ててください。
- 流産の多くは染色体異常が原因であり、予防できないものが大半
- 生活習慣の改善でリスクを下げられる部分もある
- 葉酸の摂取、禁煙、適正体重の維持は今日からできる対策
- 持病がある場合は妊娠前からの管理が重要
流産の兆候と対応
以下の症状が見られた場合は、流産の兆候の可能性があります。
- 性器出血:少量の場合も、鮮血の場合も注意が必要
- 下腹部の痛み:生理痛のような痛み、またはそれ以上の痛み
- つわりの突然の消失:それまであったつわりが急になくなる
- 腰痛:強い腰痛が出血を伴う場合
出血や強い腹痛がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。早めの対応で、妊娠を継続できるケースもあります(切迫流産の場合)。

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流産後の心と体のケア
体の回復
初期流産の場合、体の回復は比較的早く、通常1〜2回の生理周期で元に戻ります。医師から特別な指示がない限り、次の生理が来れば妊活を再開できるケースが多いです。
心のケア
流産は精神的に大きなダメージを受ける出来事です。悲しみ、怒り、罪悪感などさまざまな感情が湧いてくるのは自然なことです。以下のようなサポートを活用してください。
- パートナーと気持ちを共有する
- 不妊カウンセラーに相談する
- 同じ経験をした方のコミュニティに参加する
- 必要に応じて心療内科を受診する
- 厚生労働省の不妊専門相談センターを利用する
「早く立ち直らなきゃ」と焦る必要はありません。悲しみを十分に感じたうえで、自分のペースで前に進んでいきましょう。
まとめ
流産の最大の原因は受精卵の染色体異常であり、これは母体の行動とは無関係に起こる現象です。「自分のせいだ」と思い悩む必要はまったくありません。
一方で、葉酸の摂取、禁煙、適正体重の維持、持病の管理といった生活習慣の改善は、リスクを下げるために有効です。できることから一つずつ取り組んでいきましょう。
流産を経験された方は、一人で抱え込まず専門家のサポートを受けてください。日本生殖医学会(www.jsrm.or.jp・サイト終了)のサイトでは、流産に関する正確な医学情報を確認できます。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療的な診断・治療を代替するものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
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