不妊治療では、さまざまな種類の薬が使われます。「この薬は何のために飲むの?」「副作用が心配…」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
不妊治療で使われる薬は大きく分けて「排卵誘発剤」「ホルモン補充薬」「その他の補助薬」の3種類があります。それぞれの薬の目的と副作用を知っておくことで、治療への不安が軽減され、体の変化にも冷静に対応できるようになります。
この記事では、不妊治療で処方される主な薬の種類、効果、副作用をわかりやすくまとめました。主治医の説明をより深く理解するための参考にしてください。

🐰 ナビ助のおすすめ!
排卵誘発剤の種類と副作用
排卵誘発剤は、卵巣を刺激して卵胞の成長を促し、排卵を起こすための薬です。タイミング法から体外受精まで、幅広い治療段階で使用されます。
クロミフェン(クロミッド)
不妊治療で最も広く使われている内服の排卵誘発剤です。脳の視床下部に作用して、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促進します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投与方法 | 内服(錠剤) |
| 使用時期 | 月経開始後5日目頃から5日間程度 |
| 主な副作用 | 頭痛、ほてり、気分の変動、子宮内膜が薄くなる、頸管粘液の減少 |
| 注意点 | 長期連用すると子宮内膜への影響が出る場合がある |
クロミフェンは副作用が比較的軽いため、治療の初期段階でよく処方されます。ただし、子宮内膜が薄くなるという副作用があるため、数周期使用しても妊娠しない場合は、別の薬への切り替えが検討されます。
レトロゾール(フェマーラ)
本来は乳がんの治療薬ですが、排卵誘発の効果があるとして不妊治療でも使用されています。クロミフェンと比べて子宮内膜への影響が少ないのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投与方法 | 内服(錠剤) |
| 主な副作用 | 頭痛、関節痛、ほてり |
| メリット | 子宮内膜への影響がクロミフェンより少ない |
ゴナドトロピン製剤(FSH製剤・hMG製剤)
注射で投与する排卵誘発剤で、内服薬よりも強力な卵巣刺激効果があります。体外受精の採卵に向けた卵巣刺激で使用されることが多いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投与方法 | 注射(皮下注射または筋肉注射) |
| 主な副作用 | 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、お腹の張り、注射部位の痛み |
| 注意点 | OHSSのリスクがあるため、超音波での定期的なモニタリングが必要 |
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について
ゴナドトロピン製剤の最も注意すべき副作用がOHSSです。卵巣が過剰に腫れ、腹水やむくみ、体重増加などの症状が出ます。重症化すると入院が必要になることもあるため、以下の症状が出たらすぐに主治医に連絡してください。
- お腹が急に張ってきた
- 短期間で体重が増加した
- 吐き気・嘔吐がある
- 尿量が極端に減った
- 息苦しさを感じる

ホルモン補充薬の種類と副作用
黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤
黄体ホルモンは妊娠の成立と維持に不可欠なホルモンです。子宮内膜を着床しやすい状態に整え、妊娠初期の維持をサポートします。
| 剤形 | 薬名の例 | 主な副作用 |
|---|---|---|
| 内服 | デュファストン、ルトラールなど | 眠気、だるさ、胃部不快感 |
| 注射 | プロゲステロン注射 | 注射部位の痛み・硬結、眠気 |
| 膣錠 | ウトロゲスタン、ルティナスなど | 膣の不快感、おりものの増加 |
膣錠タイプは子宮に直接作用するため、全身への副作用が比較的少ないとされています。ただし、膣への挿入に慣れるまで抵抗を感じる方もいます。
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)製剤
排卵のトリガーとして使用されるほか、黄体機能の補助にも用いられます。卵胞が十分に成育した段階で注射し、約36〜40時間後に排卵を促します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投与方法 | 注射(筋肉注射) |
| 主な副作用 | 注射部位の痛み、お腹の張り、OHSSのリスク |
| 注意点 | 妊娠検査薬に影響するため、検査のタイミングに注意が必要 |
エストロゲン(卵胞ホルモン)製剤
子宮内膜を厚くするために使用されます。凍結胚移植のホルモン補充周期で用いられることが多いです。
| 剤形 | 主な副作用 |
|---|---|
| 内服・貼付剤・膣錠 | 頭痛、吐き気、乳房の張り、むくみ |
その他の補助薬
GnRHアゴニスト・アンタゴニスト
体外受精の周期で、排卵のタイミングをコントロールするために使用されます。
- GnRHアゴニスト(スプレキュア点鼻薬など):一時的にホルモン分泌を高めた後、抑制する
- GnRHアンタゴニスト(セトロタイドなど):排卵を抑制し、計画的な採卵を可能にする
主な副作用として、ほてり、頭痛、注射部位の腫れなどが報告されています。
低用量アスピリン
血流改善を目的として処方されることがあります。子宮内膜の血流を良くし、着床環境を整える効果が期待されています。

副作用への対処法
薬の副作用は個人差が大きいですが、以下の対処法が一般的に推奨されています。
| 副作用 | 対処法 |
|---|---|
| 頭痛 | 水分を十分に摂る。主治医に相談の上、鎮痛剤を使用 |
| ほてり・のぼせ | 室温調整、冷たいタオルを使用 |
| 吐き気 | 食事を少量ずつ分けて摂る。空腹を避ける |
| 注射部位の痛み | 注射後に軽くマッサージ。温タオルで温める |
| 気分の浮き沈み | ホルモンの影響であることを理解する。必要に応じてカウンセリング |
| お腹の張り | 安静にする。改善しない場合は主治医に連絡 |
- 副作用が「いつもと違う」「ひどくなった」と感じたら、我慢せずに主治医に連絡する
- 自己判断で薬の量を変えたり、服用を中止したりしない
- 市販薬やサプリメントとの飲み合わせは必ず主治医に確認する
🐰 ナビ助のおすすめ!
まとめ
不妊治療で使われる薬は種類が多く、最初は戸惑うかもしれません。しかし、それぞれの薬の目的と副作用を理解しておくことで、体の変化に冷静に対応でき、治療への不安も軽減されます。
副作用の出方には個人差がありますので、「こんな症状があるけど大丈夫かな?」と思ったら、遠慮なく主治医に相談してください。自分の体に起きていることを正しく理解し、納得した上で治療を進めていくことが大切です。

不妊治療の薬に関する詳しい情報は、日本産科婦人科学会のサイトで確認できます。薬の副作用や安全性については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報も参考にしてください。治療全般の相談は厚生労働省の不妊専門相談センター(www.mhlw.go.jp・サイト終了)をご利用いただけます。
※この記事は一般的な薬の情報を整理したものであり、個別の処方についてのアドバイスではありません。薬の使用方法や副作用に関する疑問は、必ず主治医または薬剤師にご相談ください。
🐰 ナビ助のおすすめ!


