不妊治療で避けて通れないのが注射です。排卵誘発のためのホルモン注射、hCG注射、黄体ホルモン注射など、治療が進むにつれて注射の回数は増えていきます。「また注射か…」と気が重くなる方は少なくありません。
注射の痛みは、ちょっとした工夫で大幅に軽減できます。痛みを感じやすい原因を理解し、具体的な対策を取ることで、通院のストレスを減らすことが可能です。
この記事では、不妊治療の注射が痛い原因と、痛みを和らげるための具体的な方法をまとめました。自己注射を行っている方にも役立つ情報を掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

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不妊治療で使われる注射の種類
まず、どのような注射があるのかを把握しておきましょう。
| 注射の種類 | 目的 | 注射方法 | 痛みの目安 |
|---|---|---|---|
| FSH・hMG製剤 | 卵胞の発育を促す | 皮下注射または筋肉注射 | ★★〜★★★ |
| hCG注射 | 排卵のトリガー・黄体補充 | 筋肉注射 | ★★★ |
| 黄体ホルモン注射 | 着床環境を整える | 筋肉注射 | ★★★★ |
| GnRHアンタゴニスト | 排卵の抑制 | 皮下注射 | ★★ |
| ペン型自己注射 | 排卵誘発(自宅投与用) | 皮下注射 | ★〜★★ |
一般的に、皮下注射よりも筋肉注射のほうが痛みを感じやすい傾向にあります。特に黄体ホルモンの筋肉注射は油性製剤であるため、注入時のじわっとした痛みや、注射後の筋肉痛のような後痛が出やすいです。
注射が痛い5つの原因
1. 注射の種類(筋肉注射 vs 皮下注射)
筋肉注射は皮膚の深い位置まで針を刺すため、皮下注射より痛みが強い傾向にあります。また、油性の薬液は注入に時間がかかり、じわじわとした痛みを感じやすくなります。
2. 注射部位の状態
同じ場所に繰り返し注射をすると、その部位が硬くなり(硬結)、痛みが強くなります。治療が長期化するほど、注射できるきれいな場所が少なくなっていくのが悩みの種です。
3. 体の緊張
注射への恐怖で体が緊張すると、筋肉が硬くなり、針が入りにくくなります。これが痛みの増大につながります。「痛い→怖い→緊張する→余計に痛い」という悪循環に陥りやすいのです。
4. 薬液の温度
冷蔵保存された薬液をそのまま注射すると、体温との温度差で刺激を感じやすくなります。特に油性製剤は冷えていると粘度が高くなるため、注入時間が長くなり痛みも増します。
5. 針の太さ
薬液の粘度に応じて、使用する針の太さが異なります。油性の黄体ホルモン注射は太い針が必要になるため、痛みを感じやすくなります。

痛みを和らげる7つの対策
対策1:注射部位をローテーションする
同じ場所に繰り返し注射しないよう、部位をローテーションさせましょう。お腹(おへそ周り)の皮下注射であれば、時計回りに少しずつずらしていく方法が一般的です。筋肉注射の場合は左右のお尻を交互に使います。
前回の注射部位から最低2cm以上離すことを意識してください。硬結ができている場所は避けましょう。
対策2:注射前に薬液を温める
冷蔵保存の薬液は、注射の15〜30分前に冷蔵庫から出しておくか、手のひらで包んで体温に近づけてから注射します。温めることで薬液の粘度が下がり、注入がスムーズになります。
薬液を温める際に、電子レンジや熱湯を使うのは絶対にNGです。薬の成分が変質する可能性があります。室温に戻す、または手のひらで温める程度にとどめてください。
対策3:体の力を抜くテクニック
注射の痛みを増大させる最大の原因は「緊張」です。以下の方法で意識的に体の力を抜きましょう。
- 深呼吸:注射前に深呼吸を3回。「吸って、吐いて」のタイミングで「吐くとき」に針を刺してもらう
- つま先を内側に向ける:お尻の筋肉注射の場合、つま先を内側に向けると臀部の筋肉がリラックスする
- 別のことに意識を向ける:スマホを見る、会話をする、好きな音楽を頭の中で再生するなど
対策4:自己注射のコツをマスターする
ペン型の自己注射は、コツをつかめばクリニックでの注射より痛みが少ないと感じる方もいます。
自己注射で痛みを減らすコツ
- お腹の脂肪をしっかりつまんでから刺す
- 針は皮膚に対して垂直にスッと素早く刺す(ゆっくり刺すと痛い)
- 注入はゆっくり行う(急いで押すと痛みが出やすい)
- 針を抜いた後はアルコール綿で軽く押さえる(揉まない)
対策5:注射後のケア
注射後に痛みや腫れが出た場合は、以下のケアが効果的です。
- 筋肉注射後の後痛:温タオルやカイロで温めると血流が良くなり、薬液の吸収が促進されて痛みが軽減します
- 皮下注射後の腫れ:冷やすと腫れが引きやすくなります
- 硬結ができた場合:温めて血流を改善し、自然に吸収されるのを待ちます

対策6:看護師さんに相談する
「注射が苦手」「痛みが強い」ということは、遠慮なくクリニックのスタッフに伝えましょう。ベテランの看護師さんは痛みの少ない打ち方を熟知していますし、針の太さや注射部位の変更を提案してくれることもあります。
また、「細い針に変えてもらえないか」「皮下注射に変更できる薬はないか」など、具体的に相談してみるのも有効です。
対策7:痛みが特にひどい場合は薬の変更を相談する
黄体ホルモンの油性注射が痛すぎる場合、膣錠タイプへの変更が可能なケースがあります。治療方針はクリニックによって異なりますが、代替手段がある場合は主治医に相談してみてください。
よくある質問
Q. 注射の跡が残ることはありますか?
A. 内出血による青あざが数日間残ることがあります。通常は1〜2週間で消えますが、同じ部位への繰り返しの注射で色素沈着が残ることもあります。部位のローテーションが重要です。
Q. 自己注射はどのくらいで慣れますか?
A. 個人差がありますが、多くの方が3〜5回で慣れてきたと感じるようです。最初はクリニックで看護師さんの指導のもと練習してから自宅で行うのが一般的です。
Q. 氷で冷やしてから注射すると痛くないって本当?
A. 注射部位を冷やして感覚を鈍くする方法は、一部で実践されています。ただし、冷やしすぎると血管が収縮して注入しにくくなることもあるため、事前に看護師さんに相談してください。
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まとめ
不妊治療の注射は確かに痛みを伴いますが、部位のローテーション、薬液の温め、リラックス法、自己注射のコツ、注射後のケアを実践することで、痛みを大幅に軽減できます。
「痛い」と感じることは当たり前のことです。我慢するのではなく、対策を取ること。そして、つらいときは看護師さんや主治医に相談すること。それが、治療を長く続けていくための大切なポイントです。
不妊治療に関する正確な医学情報は、日本産科婦人科学会や日本生殖医学会(www.jsrm.or.jp・サイト終了)のサイトで確認できます。治療に関する不安や疑問がある場合は、厚生労働省の不妊専門相談センター(www.mhlw.go.jp・サイト終了)もご利用ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的アドバイスではありません。注射の方法や薬の変更については、必ず主治医または看護師にご相談ください。
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