不妊治療や不育症の治療で「バイアスピリン」や「低用量アスピリン」という薬の名前を聞いたことはありませんか。アスピリン療法は着床のサポートや流産の予防を目的に、不妊治療の現場で広く使用されている治療法です。
この記事では、アスピリン療法の仕組みや着床への働き、適応となるケース、注意点まで、妊活中の方が知っておきたい情報をわかりやすくお伝えします。治療を勧められた方や、これから相談しようと考えている方の参考になれば幸いです。

🐰 ナビ助のおすすめ!
🌸 自分の体質に合う漢方を相談したい方へ
LINEで薬剤師に相談できるオンライン漢方薬店「YOJO」

- ✅ LINEで約3分の体質チェック
- ✅ 漢方選びを薬剤師に無料で相談できる
- ✅ 相談して決めた漢方を自宅にお届け
- ✅ 取り扱いは第二類・第三類医薬品
※体質チェックと相談までは無料。持病がある方・通院中の方・妊娠中の方は、まず医師にご相談ください
アスピリン療法(低用量アスピリン療法)とは?
アスピリン療法は、低用量のアスピリン(バイアスピリン)を服用することで、血液を固まりにくくし、子宮内の血流を促して着床環境を整えることを目的とした治療法です。
通常の頭痛薬として使われるアスピリンは1回300mg以上ですが、不妊治療で使われる低用量アスピリンは1日81mgから100mg程度です。この量で血小板の凝集を抑える作用が得られ、微小な血栓の形成を防ぐことが期待されています。
なぜ血流が着床に関わるのか
受精卵が子宮内膜に着床し、胎盤を形成する過程では、子宮内膜の血管が重要な役割を果たします。血液が固まりやすい体質(血栓傾向)の方では、子宮内膜の微小血管に血栓ができやすく、着床や胎盤形成が阻害される可能性があります。アスピリンはこの血栓形成を抑えることで、着床や妊娠の維持をサポートすると考えられています。
血液や免疫の話は専門用語が多く、診察の場だけでは整理しきれないこともあります。不妊治療の流れをまとめた書籍があると、あとから読み返せて便利です。
- 低用量アスピリンは1日81mgから100mg程度で使用される
- 血小板の凝集を抑え、微小血栓の形成を防ぐ
- 子宮内膜の血流を保つことで着床環境の改善が期待される
アスピリン療法が適応となるケース
すべての不妊治療でアスピリン療法が使われるわけではありません。主に以下のような場合に処方されます。
抗リン脂質抗体陽性
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、血液が固まりやすくなる自己免疫疾患で、不育症の重要な原因の一つです。抗リン脂質抗体が陽性と診断された場合、低用量アスピリンとヘパリンの併用療法が標準的な治療として行われます。
低用量アスピリン単独では生児を得る確率が50%以下であったのに対し、低用量アスピリンとヘパリンの併用療法では奏功率が70%から80%に向上したという報告があります(日本産婦人科医会)。
反復流産・不育症
2回以上の流産を繰り返す場合に、血栓傾向の検査を行い、異常が認められればアスピリン療法が検討されます。特にプロテインS欠乏症や第XII因子欠乏症など、凝固因子の異常がある場合に処方されることがあります。
反復着床不全
体外受精で複数回の胚移植を行っても着床しない場合に、子宮内膜の血流改善を目的としてアスピリンが処方されるケースがあります。ただし、着床不全に対するアスピリンの有効性については、研究によって見解が分かれています。
妊娠高血圧症候群の予防
過去に妊娠高血圧症候群やPE(子癇前症)の既往がある方に対して、予防的に低用量アスピリンが処方されることもあります。妊娠16週頃から開始することで、妊娠高血圧症候群の発症リスクを低減できるとする報告があり、ハイリスクの妊婦さんに対しては積極的に検討される治療です。
子宮内胎児発育不全のリスクがある方
過去に子宮内胎児発育不全(FGR)を経験した方や、胎盤機能不全が疑われる方にも、低用量アスピリンが処方されるケースがあります。胎盤の微小血栓を予防することで、赤ちゃんへの栄養供給を維持することを目指します。

アスピリン療法の具体的な使い方
不妊治療でアスピリン療法を行う場合の一般的な使い方をご紹介します。
服用のタイミング
多くのクリニックでは、月経開始日や排卵期前後からの服用を指示されます。体外受精の場合は、移植周期の開始とともに服用を始めるケースが一般的です。服用のタイミングは施設や主治医の方針によって異なるため、指示に従いましょう。
周期に合わせて開始日が変わるため、通院日と服用開始日を1冊にまとめて書いておくと迷いにくくなります。
服用期間
妊娠が確認された後も、多くの場合は妊娠後期まで服用を継続します。添付文書上は妊娠28週以降のアスピリン使用は禁忌とされていますが、2023年の産婦人科診療ガイドライン(産科編)では、必要性を十分に検討したうえで妊娠36週まで投与することが推奨(推奨度B)されています。欧米でも妊娠後期までの継続投与が一般的です。ただし、胎児の動脈管への影響や分娩時の出血リスクなどを考慮し、中止のタイミングは各施設の方針や個々の状況に応じて主治医が判断します。
ヘパリンとの併用
抗リン脂質抗体陽性の方や凝固異常がある方では、アスピリンに加えてヘパリン(自己注射)を併用する治療が行われます。ヘパリンは血液凝固をより強力に抑える薬剤で、自宅でお腹や太ももに皮下注射を行います。注射に対して不安を感じる方も多いですが、針が細いため痛みは少ないとされています。
アスピリンの服用開始や中止のタイミングは自己判断せず、必ず主治医の指示に従いましょう。特に服用中止の時期は重要で、急に止めると出血リスクに影響する場合があります。
アスピリン療法の注意点と副作用
低用量とはいえ、薬である以上、注意すべき点があります。
出血リスクの増加
血液を固まりにくくする薬であるため、出血しやすくなることがあります。歯科治療や手術を受ける予定がある場合は、事前に担当医にアスピリンを服用中であることを伝えてください。鼻血が出やすくなったり、歯磨き時に出血しやすくなることもあります。
歯ぐきからの出血が気になるときは、毛のやわらかい歯ブラシに替えている方もいます。
胃腸障害
アスピリンは胃の粘膜に負担をかけることがあるため、胃痛や胸焼けなどの消化器症状が出ることがあります。食後に服用する、または胃薬を併用することで軽減できるケースもあります。症状が続く場合は主治医に相談しましょう。
アレルギー反応
アスピリンに対してアレルギーがある方は使用できません。アスピリン喘息の既往がある方は使用禁忌ですので、必ず事前に主治医に伝えてください。
服用中止のタイミング
添付文書上は妊娠28週以降のアスピリン使用が禁忌とされていますが、産婦人科診療ガイドライン(2023年版)では必要に応じて妊娠36週まで投与できるとされています。ただし、分娩時の麻酔に影響する場合もあるため、中止のタイミングは各施設の方針や個々の状況に応じて主治医が決定します。主治医から指示された時期に確実に服用を中止しましょう。
長く続く内服では、曜日ごとに仕切りのあるお薬ケースを使うと、飲んだかどうかがひと目で確認できます。
保険適用について
アスピリンの不育症に対する使用は、記事執筆時点では保険適用外となっている場合があります。ただし、抗リン脂質抗体症候群と診断された場合など、疾患によっては保険が適用されることもあります。費用面で不安がある方は、事前にクリニックに確認しましょう。

🐰 ナビ助のおすすめ!
アスピリン療法に関するよくある質問
Q. 市販のアスピリン(バファリンなど)で代用できますか?
A. 市販のアスピリン含有薬は用量や配合成分が異なるため、代用はできません。不妊治療で使用されるのは医療用のバイアスピリン錠100mgです。自己判断で市販薬を服用することは避け、処方された薬を使用してください。
Q. アスピリンを飲むと着床率は上がりますか?
A. 血栓傾向がある方や抗リン脂質抗体陽性の方では、アスピリン療法が着床や妊娠維持に寄与するという報告があります。ただし、血栓傾向がない方に対するアスピリンの着床促進作用については、エビデンスが限られています。主治医が検査結果に基づいて処方を判断します。
Q. ヘパリン注射は痛いですか?
A. ヘパリンの自己注射は細い針を使用するため、チクッとする程度の痛みで済むことが多いとされています。最初は不安を感じる方が多いですが、看護師から注射の仕方を丁寧に教えてもらえますので、練習を重ねるうちに慣れていく方がほとんどです。注射部位を毎回変えることで、内出血を防ぐこともできます。
Q. アスピリン療法中に食事で気をつけることはありますか?
A. 特別な食事制限は通常ありませんが、出血リスクを高める食品(大量のナットウキナーゼを含むサプリメントなど)の摂取には注意が必要です。サプリメントを併用する場合は主治医に相談しましょう。
Q. アスピリン療法の費用はどのくらいですか?
A. バイアスピリン自体の薬価は高額ではなく、1か月分で数百円から千円程度が目安です。ただし、不育症の診断やフォローのための血液検査、受診料が別途かかります。ヘパリン注射を併用する場合は、注射薬の費用が加わるため、トータルの治療費については事前にクリニックに確認しておきましょう。
Q. アスピリンを飲んでいて出血した場合はどうすればよいですか?
A. 少量の出血や鼻血程度であれば、アスピリンの副作用として起こり得る範囲です。圧迫して止血し、次の受診時に報告してください。ただし、大量の出血や止まらない出血がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。自己判断で服用を中止するのは避けましょう。
まとめ
アスピリン療法は、血栓傾向がある方や抗リン脂質抗体陽性の方にとって、着床や妊娠維持を助ける重要な治療法です。低用量で使用するため重い副作用はまれですが、出血リスクや服用中止のタイミングなど、知っておくべき注意点もあります。
ヘパリンとの併用療法では70%から80%の奏功率が報告されている一方で、すべての方に適応があるわけではありません。血液検査で自身の状態を確認し、主治医と相談のうえで治療方針を決めていきましょう。不安なことがあれば遠慮なく質問し、納得したうえで治療に臨むことが大切です。

🧺 この記事で紹介したアイテム
参考情報:日本産婦人科医会|低用量アスピリン療法の適応、津田沼IVFクリニック|不育症と着床障害、日本医科大学付属病院|低用量アスピリン療法
🐰 ナビ助のおすすめ!
🌸 自分の体質に合う漢方を相談したい方へ
LINEで薬剤師に相談できるオンライン漢方薬店「YOJO」

- ✅ LINEで約3分の体質チェック
- ✅ 漢方選びを薬剤師に無料で相談できる
- ✅ 相談して決めた漢方を自宅にお届け
- ✅ 取り扱いは第二類・第三類医薬品
※体質チェックと相談までは無料。持病がある方・通院中の方・妊娠中の方は、まず医師にご相談ください

