不妊治療を続けながら働くためには、職場の理解と協力が欠かせません。しかし、「どんな制度が使えるのかわからない」「職場に相談する方法がわからない」という声も多く聞かれます。
この記事では、不妊治療と仕事を両立するために活用できる職場の制度や休暇、国の支援策について詳しくまとめました。自分が使える制度を把握して、治療と仕事の両立を上手に進めていきましょう。

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不妊治療と仕事の両立が難しい理由
まず、なぜ不妊治療と仕事の両立が難しいのかを整理してみましょう。原因を理解することで、対策も立てやすくなります。
通院のスケジュールが読みにくい
不妊治療は排卵のタイミングに合わせて通院するため、「明日来てください」と急に言われることが珍しくありません。事前にスケジュールを組みにくいことが、仕事との調整を難しくしています。
通院頻度が高い
体外受精の採卵周期では、月に5〜10回程度の通院が必要になることもあります。有給休暇だけでは足りなくなるケースも少なくありません。
体調の変化
ホルモン治療の副作用で体調が優れない日があったり、採卵後に安静が必要だったりと、体調面でも仕事への影響が出やすいのが不妊治療の特徴です。
精神的な負担
治療の結果への不安や、周囲に知られたくないというストレスも大きな負担になります。心身ともに消耗した状態で仕事をこなすのは容易ではありません。
両立が難しい原因は「個人の努力不足」ではなく、治療の特性上やむを得ないものです。だからこそ、職場の制度や支援を積極的に活用することが重要です。
職場で使える5つの制度・働き方
不妊治療と仕事の両立を助けてくれる制度や働き方を5つご紹介します。自分の職場で使えるものがないか、確認してみましょう。
1. 半日有給・時間単位有給
労働基準法の改正により、多くの企業で半日単位や時間単位の有給取得が可能になっています。不妊治療の通院は午前中だけで済むことも多いため、半日有給を活用すれば有給の消化を大幅に抑えられます。
就業規則で時間単位の有給取得が認められている場合は、2〜3時間だけ休んで通院し、その後出社するという使い方も可能です。
半日や時間単位で休むと、通院と業務の予定が細かく入り組みます。紙の手帳に書き出して一覧で見えるようにしておくと、休暇の申請漏れを防ぎやすくなります。
2. フレックスタイム制度
コアタイム以外の時間帯で始業・終業時刻を自由に調整できるフレックスタイム制度は、不妊治療との両立に非常に有効です。朝一番に通院して、10時や11時から出社するといった柔軟な働き方が可能になります。
3. テレワーク(在宅勤務)
テレワークが認められている職場であれば、通院日に午前中だけ病院に行き、午後からは自宅で業務を行うことができます。移動時間を削減できるため、時間の節約にもなります。
4. 不妊治療のための特別休暇
一部の企業では、通常の有給休暇とは別に、不妊治療専用の特別休暇制度を導入しています。有給の場合も無給の場合もありますが、通常の有給を温存できるという大きなメリットがあります。
制度の有無は就業規則に記載されていることが多いので、まず確認してみましょう。
5. 積立年休(ストック休暇)制度
有効期限が切れて消滅した年次有給休暇を、一定日数まで積み立てておける制度です。不妊治療の通院に使える場合があるので、人事部門に確認してみてください。

国・自治体の支援制度
職場の制度に加えて、国や自治体が提供している支援制度も確認しておきましょう。
不妊治療の保険適用
体外受精・顕微授精は保険適用の対象となっており、自己負担は3割です。ただし、治療開始時に女性が43歳未満であること、回数上限(40歳未満は6回まで、40歳以上43歳未満は3回まで)などの条件があります。
高額療養費制度
保険適用の不妊治療で月の医療費が一定額を超えた場合、高額療養費制度を利用することで自己負担額を抑えられます。加入している健康保険に「限度額適用認定証」を事前に申請しておくと、窓口での支払いが上限額までになります。
限度額適用認定証や領収書など、あとから必要になる書類が増えていきます。A4サイズのファイルボックスに1か所へまとめておくと、申請のときに探す手間が減ります。
自治体の助成金
先進医療に該当する治療については、一部の自治体が独自の助成金制度を設けています。お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してみましょう。
厚生労働省の両立支援ツール
厚生労働省は、不妊治療と仕事の両立を支援するための各種ツールを提供しています。
これらの資料には、職場に提出できる「不妊治療連絡カード」なども掲載されています。主治医に記入してもらい、職場に提出することで、必要な配慮を受けやすくなります。
保険適用の条件や高額療養費の上限額は変更されることがあります。最新の情報は加入している健康保険組合や自治体の窓口に確認してください。
くるみんプラス認定企業とは?
厚生労働省は、不妊治療と仕事の両立に積極的に取り組む企業を「くるみんプラス」として認定しています。
くるみんプラスの認定基準
認定を受けるためには、以下のような取り組みが求められます。
- 不妊治療のための休暇制度(特別休暇・病気休暇など)の導入
- 半日・時間単位の有給休暇制度の整備
- フレックスタイム制度やテレワークの導入
- 不妊治療に関する研修や啓発活動の実施
- 相談窓口の設置
テレワークが使える職場なら、自宅の作業環境を整えておくと通院日の午後も仕事に切り替えやすくなります。ノートパソコンスタンドは折りたたみ式なら使わないときに片付けられます。
自分の会社が認定されているか確認する方法
厚生労働省の「くるみん認定企業検索」で、自分の勤務先が認定を受けているか確認できます。認定企業であれば、不妊治療に関する支援制度が整っている可能性が高いです。

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職場に理解を求めるためにできること
制度があっても、実際に使いやすい環境がなければ意味がありません。職場の理解を得るためにできることを考えてみましょう。
不妊治療連絡カードを活用する
厚生労働省が作成した「不妊治療連絡カード」は、主治医に記入してもらい、職場に必要な配慮を伝えるためのツールです。治療の詳細を話さなくても、必要な配慮内容を客観的に伝えられるメリットがあります。
上司・人事への相談
信頼できる上司や人事部門に相談することで、業務の調整や制度の活用がしやすくなります。伝える際は、以下のポイントを押さえると効果的です。
- 「不妊治療で通院が必要」という事実を伝える
- 「月に○回程度、半日休暇が必要になる見込み」と具体的に伝える
- 「業務への影響を最小限にする工夫をしている」ことも伝える
- 情報の共有範囲を指定する(「チーム全体には伝えないでほしい」など)
職場の同僚への配慮
急な休みや遅刻が増えると、同僚に負担がかかることがあります。自分の業務の引き継ぎマニュアルを整備しておくと、周囲の負担を軽減でき、理解も得やすくなります。
両立がうまくいかないときの選択肢
どうしても仕事と治療の両立が厳しい場合、以下の選択肢も検討してみてください。
時短勤務への切り替え
フルタイムが厳しい場合は、時短勤務への一時的な切り替えが可能かどうか、人事部門に確認してみましょう。
休職制度の利用
企業によっては、不妊治療を理由とした休職が認められる場合があります。就業規則に記載がない場合でも、人事部門に相談することで柔軟に対応してもらえるケースもあります。
転職・働き方の見直し
現在の職場環境がどうしても両立に適していない場合は、不妊治療に理解のある企業への転職を検討することも選択肢のひとつです。くるみんプラス認定企業を探してみるのもよいでしょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 不妊治療連絡カードはどこで入手できますか?
A. 厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。主治医に必要事項を記入してもらい、職場の人事担当者や上司に提出する形で使用します。
自宅で印刷できる環境があると、連絡カードや申請書類をその場で用意できて手間が減ります。A4対応のコンパクトなプリンターなら置き場所も取りません。
Q. 派遣社員やパートタイマーでも不妊治療の支援制度は使えますか?
A. 雇用形態に関わらず、有給休暇制度は法律で保障されています。また、一部の企業では非正規社員にも特別休暇制度を適用している場合があります。派遣元の企業に確認してみてください。
Q. 職場に制度がない場合、自分から提案してもいいですか?
A. 人事部門に「不妊治療と仕事の両立支援について検討してほしい」と提案すること自体は問題ありません。厚生労働省の支援ツールや他社の事例を添えて提案すると、前向きに検討してもらいやすくなります。
Q. 不妊治療を理由に評価が下がることはありますか?
A. 不妊治療を理由とした不利益な取り扱い(評価の低下・降格・解雇など)は不当な扱いに該当する可能性があります。そのような状況に遭遇した場合は、社内の相談窓口や都道府県の労働局に相談しましょう。

まとめ
不妊治療と仕事の両立には、職場の制度や国の支援を上手に活用することが欠かせません。半日有給・フレックスタイム・テレワーク・不妊治療連絡カード・くるみんプラス認定など、使えるツールは意外と多くあります。
「使える制度があるのに知らなかった」ということがないよう、まずは自分の職場の就業規則を確認してみましょう。そして、信頼できる上司や人事担当者に相談することで、治療と仕事のバランスを見つけやすくなります。
あなたが安心して治療に取り組める環境を、一緒に整えていきましょう。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・医学的なアドバイスを代替するものではありません。具体的な制度の利用については、勤務先の人事部門や各自治体の窓口にご確認ください。
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