妊活を始めるにあたって、男性側の検査として欠かせないのが精液検査です。しかし、検査結果を受け取っても「数値の意味がよく分からない」「正常値はどれくらい?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、精液検査の結果の見方と正常値について、WHO(世界保健機関)の基準をもとに分かりやすく解説します。検査結果を正しく理解して、妊活を前向きに進めていきましょう。

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精液検査とは?
精液検査とは、射精によって得られた精液を顕微鏡や専用の機器で調べ、精子の数・運動率・形態などを評価する検査です。不妊症の原因の約半数は男性側にあるとされており、妊活の初期段階で男性も検査を受けることが推奨されています。
検査は泌尿器科や不妊治療クリニックで受けることができます。一般的に2〜7日間の禁欲期間を設けたうえで精液を採取し、提出します。自宅採取が可能なクリニックも増えています。
精液検査の費用
精液検査は不妊症の診断目的であれば保険適用となり、3割負担で約1,500〜3,000円程度が目安です。自費の場合は5,000〜10,000円程度のクリニックが多くなっています。
精液検査の主な検査項目と正常値(WHO基準 2021年版)
精液検査の結果は、WHO(世界保健機関)が定めた「下限参考値」と照らし合わせて評価されます。この基準は2021年に11年ぶりに改訂された最新版(第6版)に基づいています。
| 検査項目 | WHO下限参考値(2021年) |
|---|---|
| 精液量 | 1.4 mL以上 |
| 精子濃度 | 1,600万/mL以上 |
| 総精子数 | 3,900万以上 |
| 運動率 | 42%以上 |
| 前進運動率 | 30%以上 |
| 正常形態率 | 4%以上(厳格基準) |
| 生存率 | 54%以上 |
| pH | 7.2以上 |
WHOの「下限参考値」は、1年以内に自然妊娠に至った男性の下位5%を目安として設定されたものです。この基準を下回ったからといって妊娠が不可能というわけではなく、あくまで参考値として捉えてください。
検査項目の背景まで自分のペースで読んでおきたい方向けに、男性不妊をテーマにした書籍も出版されています。診察室では聞きそびれがちな用語の整理に使っている方もいます。
各検査項目の見方を詳しく解説
精液量
精液量は1回の射精で得られる精液の総量です。WHO基準では1.4mL以上が正常とされています。精液量が少ない場合は、採取時の損失や禁欲期間の不足のほか、精嚢や前立腺の機能の問題が考えられます。
精子濃度
精子濃度は精液1mLあたりの精子の数で、1,600万/mL以上が基準値です。精子濃度が基準を大きく下回る場合は「乏精子症」と診断されることがあります。重度の場合は顕微授精(ICSI)が検討されます。
総精子数
総精子数は1回の射精に含まれる精子の総数で、精液量×精子濃度で算出されます。3,900万以上が基準値です。精液量が多くても精子濃度が低い場合は総精子数が少なくなるため、両方を合わせて評価することが重要です。
運動率
運動率は全精子のうち動いている精子の割合で、42%以上が基準値です。そのうち前に進む動きを示す「前進運動率」は30%以上が目安となります。精子が卵子に到達するためには前進運動が不可欠であるため、特に重要な指標です。運動率が基準を下回る場合は「精子無力症」と呼ばれ、原因の精査が行われます。
正常形態率
正常形態率は精子の形が正常な割合で、WHO基準(厳格基準/クルーガー基準)では4%以上とされています。精子の頭部・中間部・尾部の形態が評価されます。4%という数値は低く感じるかもしれませんが、この厳格基準では正常と判定される精子の割合自体が低い設計になっています。
pH(水素イオン濃度)
精液のpHは7.2以上が基準値で、弱アルカリ性であることが正常です。酸性に傾いている場合は、精嚢の機能異常や感染症の可能性が考えられます。

検査結果が基準値を下回った場合
精液検査の結果が基準値を下回っていた場合、以下のような診断名がつくことがあります。
| 診断名 | 状態 |
|---|---|
| 乏精子症 | 精子濃度が基準値未満 |
| 精子無力症 | 運動率が基準値未満 |
| 奇形精子症 | 正常形態率が基準値未満 |
| 無精子症 | 精液中に精子が確認できない |
| 乏精液症 | 精液量が基準値未満 |
精液の状態は体調やストレス、季節などによって変動するため、1回の検査結果だけで結論を出すのは避けましょう。多くのクリニックでは2〜3回の検査を行い、総合的に判断します。
検査を何度か受けることになるので、結果や体調のメモを1冊にまとめておくと、次の受診時に医師へ伝えたいことを整理しやすくなります。妊活用の手帳や記録ノートを使っている方もいます。
精液検査の結果はあくまで一時点のデータです。体調不良時や極端な禁欲期間、高熱の後などは結果が大きく変動することがあります。正確な評価のためには、適切な禁欲期間(2〜7日)を守り、体調の良い日に検査を受けることが大切です。
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精液検査の結果を改善するためにできること
精液検査の結果が思わしくなかった場合でも、生活習慣の見直しによって改善が期待できるケースがあります。精子は約74日(約2〜3か月)かけて新しく作られるため、生活改善の効果が現れるまでには3か月程度かかることを念頭に置きましょう。
食事の改善
亜鉛を多く含む食品(牡蠣、牛肉、ナッツ類)や、ビタミンC・ビタミンEを含む果物・野菜を意識して摂りましょう。コエンザイムQ10や葉酸も精子の質に関わるとされている栄養素です。一方、トランス脂肪酸を含む食品や過度な加工食品は控えることが推奨されます。
食事だけで毎日一定量を摂るのが難しいという方向けに、亜鉛の栄養機能食品(サプリメント)も市販されています。成分量や飲み方は商品ページで確認し、服薬中の方は医師や薬剤師に相談してみてください。
禁煙
喫煙は精子の数・運動率・形態のすべてに悪影響を及ぼすことが報告されています。妊活中は禁煙を強くおすすめします。
適度な運動と温度管理
適度な有酸素運動は精子の質の改善に寄与するとされています。一方で、サウナや長時間の入浴、きつい下着の着用など、精巣の温度を上げる行為は精子に悪影響を与えるため避けましょう。
下着を見直したい場合は、締め付けの少ないゆったりしたタイプや、通気性のよい綿素材のものが選択肢になります。サイズ感は商品ページのレビューも参考にしてみてください。
ストレス管理と十分な睡眠
慢性的なストレスや睡眠不足はホルモンバランスに影響し、精子の質を低下させる可能性があります。テストステロン(男性ホルモン)の分泌は睡眠中に活発になるため、7〜8時間程度の質の良い睡眠を確保することが大切です。規則正しい生活を心がけ、リラックスできる時間を設けましょう。
飲酒の見直し
過度な飲酒は精子の質に悪影響を及ぼすことが報告されています。妊活中は適量を心がけ、できれば休肝日を設けるなど、飲酒習慣の見直しを検討しましょう。

よくある質問(Q&A)
Q. 精液検査は何回受けるべきですか?
最低2回は受けることが推奨されます。精液の状態は日によって変動するため、1回の結果だけでは正確な評価が難しいためです。1〜3か月の間隔を空けて再検査を行うのが一般的です。
Q. 自宅で精液を採取して持ち込んでも大丈夫ですか?
自宅採取に対応しているクリニックも多くあります。その場合は、採取後2時間以内に提出すること、体温に近い温度(人肌程度)で保管・搬送することが求められます。極端な高温や低温にさらさないよう注意しましょう。
Q. 正常値を満たしていれば妊娠できますか?
WHOの基準値を満たしていても、妊娠を保証するものではありません。妊娠には女性側の要因も含めた複合的な条件が関わるため、夫婦で検査を受けることが大切です。
Q. 精液検査はどの科で受けられますか?
泌尿器科または不妊治療を行っている婦人科・生殖医療専門クリニックで受けられます。男性不妊に特化した泌尿器科を選ぶと、より詳しい評価やアドバイスが得られる場合があります。
Q. 禁欲期間はどれくらいが適切ですか?
WHO基準では2〜7日間の禁欲期間が推奨されています。禁欲期間が短すぎると精液量や精子数が少なくなり、長すぎると運動率が低下する傾向があります。医師の指示に従って適切な期間を設けましょう。
Q. 精液検査の結果はどれくらいで分かりますか?
一般的に精液検査の結果は即日から数日以内に分かります。クリニックによっては当日中に結果説明を行ってくれるところもあります。精子のDNA断片化検査など詳細な検査を追加する場合は、結果が出るまでに1〜2週間程度かかることもあります。
Q. 精索静脈瘤があると精液検査の結果は悪くなりますか?
精索静脈瘤は男性不妊の原因として多い疾患で、精子の数や運動率に悪影響を及ぼすことが知られています。精液検査の結果が継続的に悪い場合は、泌尿器科で精索静脈瘤の有無を調べることが推奨されます。手術によって精液所見が改善するケースも多く報告されています。
Q. サプリメントで精液検査の結果は改善しますか?
亜鉛やコエンザイムQ10、ビタミンC/Eなどのサプリメントが精子の質の改善に寄与するとの研究報告があります。ただし効果には個人差があるため、サプリメントだけに頼るのではなく、生活習慣の改善と併せて取り組むことが大切です。医師に相談のうえで利用しましょう。
コエンザイムQ10のサプリメントは市販されており、含有量や形状(ソフトカプセル・粒など)は商品によってさまざまです。気になる方は商品ページで成分表示を確認してみてください。
まとめ
精液検査の結果は、WHO基準(2021年版)の下限参考値と照らし合わせて評価します。精子濃度・運動率・正常形態率の3つが特に重要な指標で、基準を下回る場合は追加の検査や治療が検討されます。
ただし、精液の状態は体調やストレスによって変動するため、1回の結果に一喜一憂する必要はありません。食事や運動、禁煙などの生活改善に取り組むことで、精液検査の結果が向上するケースも多いとされています。不安な点があれば、遠慮なく担当医に相談してみてください。
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精液検査の結果について詳しく知りたい方は、以下のサイトも参考にしてみてください。
- 日本生殖医学会 – 男性不妊に関する学会の情報が掲載されています。
- 厚生労働省 不妊治療に関する取組 – 保険適用の条件を確認できます。
- 日本産科婦人科学会 – 不妊治療全般のガイドラインが公表されています。
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